電気がついた後、二人が一緒に横たわっているのがはっきりと見えた。小林博は矢崎美緒を抱きしめ、矢崎美緒は彼の胸に寄り添い、とても親密な様子だった。
矢崎政氏は驚き、監視カメラがベッドの二人を捉えていた。
これが小林博が介護士を追い払って自分で看病する理由だったのか?矢崎美緒を抱きしめやすくするため?
矢崎弘は嫌悪感を露わにし、スマートフォンを取り出して何枚も写真を撮った。
この二人は本当に規則を守らない。
病床の二人は突然の眩しい光で目を覚ました。
矢崎美緒は看護師が巡回に来たのだと思い、目を開けて怒鳴ろうとした。
しかし目を上げると叔母と二人の兄を見て、矢崎美緒は魂が抜けそうになり、体が震えた。
彼女はすぐに布団に顔を埋め、小林博を押した。
「早く起きて、誰か来たわ!」
二人の動作は夫婦のようで、親密さが漂っていた。傍らで見ていた田中千佳は奥歯を噛みしめていた。
小林博も眩しい光を感じ、手で目を覆った。「何だよ、夜なのに巡回?」
彼も彼らを看護師だと思っていた。
目が光に慣れて部屋を見渡すと、心臓が止まりそうになり、ベッドから飛び起きて、どもりながら言った。「どうして急に来たんだ?」
まだ夢を見ているのだろうか?
なぜ母が矢崎政氏、矢崎弘と一緒に病室にいるのか?
田中千佳は怒りで狂いそうになり、歯を食いしばって低い声で言った。「来ちゃいけないの?あなたがいとこと一緒にベッドで寝られるように?」
彼女は隅に置いてある金属の椅子を見つけ、大股で歩いていき、椅子を持ち上げて小林博に向かって歩いていった。
この金属の椅子は中空で、それほど重くはなかった。
田中千佳は激怒状態で、体から怒りが迸り、椅子を高く持ち上げた。
小林博は驚いたが、声を出す勇気もなかった。
田中千佳は椅子の背もたれを振り上げ、椅子の脚を小林博に向かって叩きつけた。「恥知らずな奴!帰国してからずっとこの病室にいて、親にも言わない!いとこの世話だって?ベッドまで入り込んで、本当に頭がおかしくなったのね!」
「痛っ!」
小林博は頭を抱えて身を縮め、椅子の脚が腕に当たり、思わず叫び声を上げた。
田中千佳はまだ足りないと、椅子を小林博の背中に叩きつけた。「十月十日お腹を痛めてこんな子を産むくらいなら、生まれた時に殺してしまえばよかった。この畜生!」