614 不吉な予感

小林美登里なんて役立たずだから、彼女に話しても無駄よ。

それに、小林博が矢崎美緒の世話をしに行くのを小林美登里が知ったら、きっと喜んで賛成するだけで、止めたりしないわ。

「問題ありません。いつでも時間がありますから、田中おばさん、何かあったら電話してください」と矢崎政氏は笑顔で言った。

二人が電話を切った後、田中千佳はベッドの上でしばらく悶々としていた。息子を矢崎美緒から引き離す方法を考えていたが、どう考えても良い案が浮かばなかった。

一方、小林博は病室に入るなり、矢崎美緒は嬉しそうな顔で「いとこ、やっと戻ってきたの!私、一人でとても退屈だったの!」と言った。

彼女は、いとこがもう来なくなるのではないかと心配していた。まさか自分がいとこの心の中でこんなに重要な存在だとは思わなかった。田中おばさんに家に連れ戻されても、また病室に戻ってきてくれるなんて。