矢崎美緒は涙を流しながら、興奮して叫んだ。「いとこ、もう二度と会えないと思っていたわ。私の足に金属プレートが入れられて、すごく痛いの!辛いわ!」
この言葉は嘘ではなく、彼女の涙も本物だった。
小林博は彼女の頭を撫で、目尻の涙を拭いながら言った。「全部わかってるよ!僕が帰ってきたんだから、もう誰も君をいじめることはできない。僕が守ってあげる」
彼は慰めの言葉を何度も掛け、矢崎美緒の感情は徐々に落ち着いていった。
小林博は意図的に子供の頃の楽しい思い出を話題にし、やっと矢崎美緒を笑顔にすることができた。彼は彼女の笑顔を見て、やっと安心した。
こうして1時間以上抱き合っているうちに、病院も再び忙しくなってきた。
小林博は尋ねた。「美緒、お腹すいてない?朝ごはん買ってくるよ!」
矢崎美緒は首を振って、「いいの、あまり食べたくないわ。でもいとこは飛行機を降りてすぐ病院に来たから、まだ朝ごはん食べてないでしょう?」
小林博は離れたくなくて、「大丈夫、僕もお腹すいてないよ」と言った。
矢崎美緒は目を輝かせ、何かを思いついたように甘えた声で言った。「いとこ、たぶん三兄と四兄も家にいるわ。家に帰って一緒に朝ごはんを食べてから、また来てくれない?久しぶりに会えるでしょう」
小林博を小林家に帰らせたら、もう出てこられなくなるかもしれない。
やっぱり矢崎家に行くべきだわ!
矢崎家に行けば、いとこは必ず矢崎若菜と矢崎政氏をしっかり叱ってくれて、二人を病室に来させてくれるはず。そうすれば、もう寂しい思いをしなくて済むわ。
二人が来たら、もう少し甘えて可哀想な振りをすれば、矢崎若菜と矢崎政氏の心が変わって、矢崎家での昔の思い出を思い出して、また私を可愛がってくれるかもしれない。
小林博は気が進まない様子で、「あの二人には会わなくていい。薄情な奴らだ。昔、君が彼らにどれだけ優しくしたのに、君を一人病院に放っておくなんて、許せない」
彼が一番嫌いなのは矢崎若菜だった。
美緒をちゃんと守ると約束したのに、美緒にあんなに辛い思いをさせて、約束を破った。