645 巻き込まれる

霊石が砕けた後、小蛇は一口一口食べ、頭を揺らしながら、矢崎粟にもわかるほど嬉しそうにしていた。

食べ終わると、小蛇のお腹はぽっこりと膨らんでいた。

小蛇は矢崎粟のバッグの中に潜り込み、丸くなって眠ってしまった。

矢崎粟は眠る小蛇の姿を見て、心が喜びに満ちた。

彼女もこの小蛇が大好きで、この出会いは運命だったのかもしれないと思った。

矢崎粟はバッグを持って、来た道を戻り始めた。彼女は足早に歩き、一時間もしないうちに大山を越えて、霊木の谷の範囲内に入った。

キャンプ地まであと数百メートルというところまで来ていた。

突然、矢崎粟はエネルギーの波動を感じた。それは矢野朱里たちが寝ているテントの辺りからのようだった。

誰かが呪術を使っている!

彼女は急いで戻り、テントの端がぼんやりと見えてきた頃、耳に驚きの声と衝突音が聞こえてきた。