644 霊石が山のように積まれる

だが、ダチョウの体には外界の気配があり、侵入者だと思われる。

ダチョウはここの霊気が豊かなことを発見し、この場所を占有しようとしたが、思いがけず霊蛇を見つけてしまった。

二つの生き物は戦い、最後には両者とも重傷を負って死んでしまった。

矢崎粟は霊蛇の前に歩み寄り、その周りに効果を高める陣法を配置し、目を閉じて呪術の経文を唱えた。これらを終えた後、彼女は霊蛇を谷に埋葬した。

最後に、彼女は蛇の卵を抱きながら、霊力の波動が最も強い場所へと向かい、川に沿って下流へと進んだ。

彼女は渓谷の終わりに一軒の木造の小屋を発見した。

この小屋は霊獣と絆を結んだ人間が建てたものに違いなく、かなり古そうに見えた。

小屋には扉がなかった。

矢崎粟が中に入ると、瞳孔が一瞬で開き、驚きの表情を浮かべた。

彼女は小屋の中で山のように積まれた霊石を発見した。五色に輝く美しい色彩で、霊石からは波動のようなエネルギーが放出されていた。

一つ一つの霊石が、すべて最上級のものだった。

外では稀少な霊石が、オークションで一個数千万円もするのに、この小屋では小山のように積み上げられていた。

この光景は本当に衝撃的だった。

この谷の自然な霊気と合わせて、これが霊蛇の実力が強かった理由なのだろう!

霊蛇が産卵を終えたばかりでなければ、ダチョウが殺すことは不可能だったはずだ。

矢崎粟は携帯していた折りたたみバッグを取り出し、一杯に詰め込んだ。選んだのは全て自分の玄学の属性に合う霊石だった。

選び終わった後、矢崎粟は小屋の他の部屋も見て回った。

書斎に入ると、机の上に特殊な材料で書かれた手紙を一通見つけた以外には、他の文字は何も見つからなかった。

手紙の中で、矢崎粟はその人物が自分の師匠の先祖だと知った。

その人物は偶然にこの谷に来て、谷の外で瀕死の霊蛇を救い、谷の中で修行させることにした。

最後にその人物は放浪の時期が終わり、去らなければならなくなった。

彼は霊蛇と約束した。もし後に玉璧を持った人が来たら、その人は信頼できる人物であり、小屋で修行することを許可すると。

玉璧はまた谷を開く鍵でもあり、陣法を解くことができる。

陣法は霊蛇を束縛せず、霊蛇はここを自由に出入りできる。

矢崎粟はここまで読んで、山の怪物も霊蛇だったのだろうと推測した。