657 しっかり尋問して

「言わないでいると、隠し立てしているのが余計に気まずくなる」と森田廣は言った。

表向きには、森田廣は責任を矢野常に押し付けていた。

実際には、彼はみんなに、これは矢野常の母親がやったことで、矢野常とは関係ないということを伝えたかったのだ。

矢野常は冷ややかに鼻を鳴らし、何も言わなかった。

森田廣の腹の中は深すぎて、彼が何を考えているのか誰にもわからない。だから矢野常も信用しなかった。

森田廣はさらに言った。「でも、お前の母親は本当にひどすぎる。虎でさえ子を食わないというのに、お前の母親はお前と矢野朱里の命さえも気にかけない。本当の母親じゃないんじゃないかと疑うよ」

矢野常の顔色が悪くなり、「誰にもわからないさ」と言った。

母親の心の中では、彼らは矢野徹の指一本にも及ばないのだ。