655 傷口から膿が出る

藤村敦史は心の中で不吉な予感が募り、弟子のことがますます心配になっていった。

仕方なく、彼は携帯電話の別の番号にかけ直した。その番号の所在地は中華街だった。

電話がつながると、藤村敦史は尋ねた。「藤村慎一はそちらにいるか?連絡が取れないんだ。」

向こう側から、老人の声が聞こえてきた。「彼は数日前に霊木の谷へ向かったよ。ある玄学師を追いかけるためだったが、おそらくその玄学師に捕まったんだろう。」

「その玄学師は誰だ?」藤村敦史は冷たい声で尋ねた。

老人は言った。「国内で非常に有名な女性玄学師だよ。矢崎粟という名前で、実力は相当なものだ。矢崎粟を探しに行くなら、十分な準備をした方がいい。」

藤村敦史は少し考えてから答えた。「忠告ありがとう。私の弟子の情報を調べてほしい。何か分かれば、必ず報酬は弾むつもりだ。」