652 後患無窮

藤村慎一は歯を食いしばり、拳を固く握りしめた。

深く息を吸い、ようやく尋ねた。「一体何がしたいんだ?まさか、俺の命が欲しいのか?」

矢崎粟は言った。「あなたが間違ったことをしたのなら、法の裁きを受けるべきです。そうでなければ、国が混乱してしまいます。」

藤村慎一は不服そうに言った。「法?法なんて一般人を縛るだけのものだ。俺は偉大な呪術師だ。法なんかで俺を縛れるわけがない!」

矢崎粟は彼の考えを見抜き、容赦なく指摘した。「玄学師や呪術師のような特異な者たちに対して、我が国は一連の法律を制定しています。あなたが過ちを犯せば、同様に裁かれることになります。」

藤村慎一は大笑いして言った。「誰が俺を裁けるというんだ?中華街の道家協会か?」

国防省の者でさえ、彼を捕まえることはできないだろう。

彼はあらゆる毒虫を召喚でき、一人で千軍万馬に匹敵する。

たとえ牢獄に入れられても、普通の牢獄からは抜け出す方法がいくらでもある。

これが彼がそれほど傲慢な理由だった。

矢崎粟の実力が強くなければ、彼はこれほど真剣に彼女に許しを請うことはなかっただろう。

たとえ矢崎粟が彼を道家協会に送っても、藤村慎一は恐れていなかった。結局のところ、背後にいる人物は道家協会の者なのだから。

もし彼が送られたとしても、背後の人物が彼を庇護してくれるはずだ。

矢崎粟は藤村慎一を一瞥し、笑いながら首を振った。彼女は本当に藤村慎一の知能に焦りを感じていた。

彼女は呆れて言った。「あなたが道家協会に入ったら、生きて出てこられると思っているの?彼らはすぐにあなたを口封じして、私に罪を着せるでしょう。そうしたら、あなたの師匠を引き寄せることになる。師匠の復讐に対して、私は弁明の余地もなく反撃するしかなくなり、最後にはあなたたち師弟二人とも消されることになる。これがあなたの望む結果なの?」

こんな単純な道理を、藤村慎一は理解できないのだった。

まさか彼は背後の人物が慈悲深い人間だと本当に思っているのだろうか?おそらく道家協会に足を踏み入れた瞬間に口封じされるだろう。

藤村慎一は驚きの表情を浮かべ、心に不安を感じていた。

矢崎粟の言うことは本当にありそうだった。背後の男の行動は狡猾すぎる。道家協会に捕まるリスクは冒せない。

そうなれば師匠まで巻き込んでしまう。それは悲惨すぎる。