もう一つ、背後にいる人物が報復されれば、矢崎粟は手がかりを辿って、その人物が誰なのかを知ることができる。
結局のところ、早く自分の敵が誰なのかを知ることができれば、勝利の確率も高くなるのだ。
矢崎粟はしばらく考えて、自分の小さな巾着を取り出した。
巾着にはぎこちなくリンゴが刺繍されていた。これは今日の午後に矢野朱里からもらったもので、矢崎粟がこの巾着を持っていれば、ずっと無事でいられますようにという願いが込められていた。
原東も巾着のリンゴを見て、思わず笑みを浮かべた。「なかなか風変わりな巾着だね」
矢崎粟は軽く笑って、特に説明はしなかった。
彼女は巾着の中を探って、二枚の護身符と一つの四角い白玉のペンダントを見つけた。
このペンダントには吉祥の気が宿っており、一度の災難を防ぐことができる。まさに藤村慎一のような状況に適している。