680 名誉会長

矢崎粟はさらに注意事項を伝えてから、電話を切った。

彼女は原東に向かって言った。「今夜は面白いことになりそうよ。背後の人物が姿を現すかもしれないから、その時はその人物の身元を確認してもらう必要があるわ」

「それは問題ありません。今夜は空いてますから!」原東は約束した。「必要な時は、いつでも事務所に来てください」

話が終わると、二人は別れ、矢崎粟も夕食を食べに戻った。

夜の七時になると、矢崎粟はパソコンの前に座り、小林瑞貴の病室の廊下の監視カメラの映像を呼び出し、相手の姿を確認する準備をした。

十分後、監視カメラに小林美登里が現れた。

小林美登里が先導し、その後ろには質素な服装の老人が続き、さらにその後ろには二人の中年男性が従っていた。

一目見ただけで、矢崎粟はその二人が玄学師だと分かった。

この老人は背後の人物と何か関係があるに違いない。

監視カメラに三人の顔が映し出され、矢崎粟は素早くスクリーンショットを保存し、タクシーで原東のところへ向かった。

矢崎粟は部屋に入るとすぐ、タブレットを取り出してスクリーンショットを原東に見せた。

「この三人を知っていますか?」矢崎粟は尋ねた。

原東は少し驚いた様子で、「この老人は道家協会の名誉会長の堀信雄大師です。協会のすべての事務を掌握し、大きな権力を持っています。後ろの二人は彼の弟子で、森村辰雄道士と若葉道士です」

彼はこの三人をよく知っていた。

玄学管理所は時々道家協会と共に犯人を逮捕することがあり、原東が最も接触が多かったのは若葉道士だった。

森村辰雄道士は性格が傲慢で、接触しにくかった。

若葉道士は比較的温和で、そのため玄学管理所の人々は皆、若葉道士との付き合いを好んでいた。

原東が最も意外に思ったのは、道家協会の会長が小林家の件に関与していることだった。小林瑞貴の呪いの毒と会長は一体どんな関係があるのだろうか?

矢崎粟も少し驚いた様子で、「この人が道家協会の会長なの?」

「はい!」原東は再び写真を見て、確信を持って頷いた。

彼は堀大師をよく知っていた。家族はほぼ毎年堀大師の講座を聴きに行っており、原東も何度か参加したことがあった。

矢崎粟はさらに尋ねた。「彼の外見は以前と何か違いはありますか?」