先ほど彼女は、堀大師と二人の道家の者が病院の入り口から出てくるのを見かけた。三人とも表情が険しく、足取りも早かった。
彼女が見ている間に、堀大師は去ってしまった。
小林美登里は怒りで鞄を座席に投げつけた。「うまく話が進んでいたのに、兄が矢崎粟を呼び出すなんて」
「それで?」矢崎美緒は身を乗り出し、顔には心配の色が浮かんでいた。
あの人は言った。もしこの件がうまくいけば、運気の五分の一を分けてあげて、芸能界に復帰して映画に出られるようにしてくれると。
運気があれば、この期間も楽になるし、足の怪我も早く治るはずだった。
小林美登里は怒りで顔を青くし、一字一字噛みしめるように言った。「あの忌々しい矢崎粟が、病室で堀大師を追い詰め、二人の道家の者まで傷つけたのよ。もう堀大師にどう説明していいか分からないわ」