692 霊鉱を国に引き渡す

別荘に戻ると、小林美登里はまた矢崎美緒に三百万円の小遣いをあげた。

矢崎美緒は部屋に戻ると、背後の人物にメッセージを送った。【今日の計画は失敗したのね?次は何をすればいいの?】

すぐに相手から返信が来た。【今は動かず、小林美登里を洗脳し続けて、小林家と矢崎粟を憎ませるように。】

矢崎美緒はメッセージを読むと、すぐに削除した。

彼女は冷たい表情で呟いた。「必ず矢崎粟に代償を払わせてやる。矢崎粟、覚えておきなさい!あなたはいずれ私の敗北者になるわ。」

……

矢崎粟は小泉西に病院の玄関まで送られた。

矢崎粟は財布から古銅貨を取り出した。この銅貨には吉祥の気が宿っており、小林瑞貴の枕元に置けば、呪虫は自動的に睡眠状態になるという。

そうすれば、呪虫は小林瑞貴を傷つけることができなくなる。

小泉西は感謝の言葉も見つからないほどだった。「ありがとう、粟。これからは小林家に頼みたいことがあれば、遠慮なく言ってね。」

彼女は心配そうに続けた。「今回、小林家は堀大師と道家協会の怒りを買ってしまったわ。今後、彼らが報復してくるかもしれないわね。」

小林家はただのお金持ちの家族で、特別な能力者はいない。小泉西は少し自信を失っていた。

矢崎粟は首を振った。「堀大師は慎重な人だから、半年以内は小林家に手を出さないでしょう。そうでないと、疑いが彼に向けられる可能性があります。私は玄学管理所の者ですから、彼も少しは警戒するはずです。今は心配せずに、解毒術の準備を進めることが最も重要です。」

これらの言葉に、小泉西は少し安心した。

前回、解毒術の日程を決めてから、小林家はずっと準備を進めていた。今、道家協会と対立することになり、小泉西は不安を感じていた。

矢崎粟の話を聞いて、彼女は自分よりも矢崎粟の方が状況をよく理解していると感じた。

「わかったわ。」小泉西は頷いて答えた。「小林家の車で送らせましょう。」

矢崎粟は断らなかった。

別れ際に、小泉西は彼女の手に紙切れを押し込んだ。

矢崎粟はアパートに着いてから、部屋で紙切れを開いた。