712 手がかり

鈴村薫は懸命に目を開けようとした。彼女は長い夢を見ていたような気がした。夢の中で自分は植物人間になり、人の話は聞こえるのに、動くことも考えることもできなかった。

彼女は全力を振り絞って、ようやく目を開けた。

彼女が最初に見た人は矢崎粟だった。

矢崎粟は近寄り、彼女の手首に手を当てて、「体力が少し消耗していますね。これからは養生に気をつけて、ゆっくり回復していきましょう」と言った。

鈴村薫は横を見ようと努力し、原東が傍に立っているのを見つけて、少し驚いた。

そして、意識が戻り、以前起こった出来事を思い出した。

小蛇が川上孝史に向かって行き、彼の手首にも一噛みして、先ほどと同じ動作を繰り返した。

鈴村薫も舌を出している小蛇に気づき、思わず驚いた。

矢崎粟は説明した。「これは私のペットです。怖がる必要はありませんよ」

鈴村薫は頷いた。「私を救ってくれたのはあなたですね」

彼女はかなり強い毒に当たったに違いない。

そうでなければ、あんなに長く眠り続けることはなかったはずだ。

矢崎粟は言った。「ええ、でも主な功労者は小蛇です。彼がいなければ、あなたがこんなに早く目覚めることはなかったでしょう。気を失う前に何が起こったか覚えていますか?」

原東も目を光らせて、「誰かがあなたたちを襲ったんですね」と言った。

鈴村薫は眉をひそめ、慎重に思い出そうとした。

彼女は目覚めたばかりで、頭の中は混乱し、記憶も完全ではなく、記憶が戻るまでには時間が必要だった。

しばらくして、鈴村薫はようやく話し始めた。「はい、私と鈴村剛史が襲われました。犯人は道家協会の堀首席でした。私たちが重要な手がかりを見つけて、さらに調査しようとした時に、気を失ってしまったんです」

当時の状況があまりにも緊急だったため、管理所の他のメンバーに知らせることができなかった。

「どんな手がかりですか?」原東は真剣な表情で、胸の記録機を開いた。

彼はこの証言を重要な証拠として記録しようとしていた。

「座蒲団です!座蒲団なんです!」川上孝史が突然ベッドから起き上がり、苦しそうな顔で叫んだ。

叫んだ後、彼は困惑した表情で周りを見回した。部屋は白く、窓の外では鳥のさえずりが聞こえていた。

「ここはどこだ?俺は死んだのか?」そして、彼は矢崎粟と原東を見た。