鈴村薫は懸命に目を開けようとした。彼女は長い夢を見ていたような気がした。夢の中で自分は植物人間になり、人の話は聞こえるのに、動くことも考えることもできなかった。
彼女は全力を振り絞って、ようやく目を開けた。
彼女が最初に見た人は矢崎粟だった。
矢崎粟は近寄り、彼女の手首に手を当てて、「体力が少し消耗していますね。これからは養生に気をつけて、ゆっくり回復していきましょう」と言った。
鈴村薫は横を見ようと努力し、原東が傍に立っているのを見つけて、少し驚いた。
そして、意識が戻り、以前起こった出来事を思い出した。
小蛇が川上孝史に向かって行き、彼の手首にも一噛みして、先ほどと同じ動作を繰り返した。
鈴村薫も舌を出している小蛇に気づき、思わず驚いた。
矢崎粟は説明した。「これは私のペットです。怖がる必要はありませんよ」