711 謝罪

吉田恭一は早く事件を片付けたいと思い、自ら小島家に行って小島おじい様に謝罪しようとした。

岡本秋生は歯ぎしりするほど怒り、心中で極度に不満を感じていた。

「上からの意向」というのは、きっと吉田恭一この老人が原東を庇い、原東に恩を売りたいのだろう。

なぜ吉田課長はこんなに偏っているのか!彼は納得できなかった。

彼、岡本秋生と原東を比べて、一体どこが劣っているというのか、なぜ吉田恭一は彼を候補者に選ばないのか?

「他に用件はありますか?なければ戻ってください。私は仕事を続けなければなりません」吉田恭一は書類を手に取り、追い払うように言った。

吉田課長のこの態度を見ると、原東を守る決意が固いようで、岡本秋生の心はさらに苦くなった。「お先に失礼します」

この言葉を残し、彼は外へと向かった。

吉田恭一の見えないところで、彼の顔は狂気に歪み、醜く恐ろしいものとなっていた。

吉田課長は原東の調査を禁じただけで、藤村慎一の遺体の調査は禁じていない。

岡本秋生は二人を連れて、監獄へと向かった。

彼は牢房を開けさせ、大股で中に入っていった。

牢房に入るなり、彼は牢全体に邪気が濃厚なことに気付いた。遺体の胸部には大きな血痕があり、そこにはナイフが突き刺さっていた。

すべての特徴があの人の言った通りで、この遺体は間違いなく藤村慎一だろう。

そのとき、澤村未緒が現れた。

澤村未緒は二部の人々を全員牢房から追い出し、近づかせないようにし、さらに遺体を運び出させて、遺体安置所に移動させた。

岡本秋生も焦らず、追い出された後すぐに背後の人物に連絡を取った。

彼はメッセージを送った:【師匠、あの遺体は確かに藤村慎一です。私はよく見ました。体からも彼の気配がしましたが、近くで触れることはできませんでした。】

すぐに相手から返信が来た:【分かった。遺体を見張っていろ。誰にも壊させるな。後で大呪術師を行かせる。彼に弟子の遺体をよく見させよう。】

背後の人物は知っていた。藤村慎一は藤村敦史が最も可愛がっていた若い弟子だということを。

藤村敦史は流派全体を藤村慎一に継がせるつもりだった。もし彼が藤村慎一の死を知れば、きっと完全に狂ってしまうだろう。

そうなれば、矢崎粟は面倒に巻き込まれることになる。