710 死体の入れ替え

大呪術師が来れば、自然と藤村慎一の診察をしてくれるだろう。

その時、堀信雄の経脈が断裂したのは、背後の人物の仕業だと分かるはずだ。

藤村慎一も背後の人物をより一層憎むことになるだろう。

邪気を完全に吸収し終えると、矢崎粟は法器を外し、ゆっくりと言った。「最初の三日間は静養が必要です。感情の起伏を抑えてください。あとは皆さんにお任せします。」

彼女は原東に頷いて、その場を去った。

矢崎粟の一連の動作は全て藤村慎一の目の前で行われたが、藤村慎一は何の不審な点も見つけられなかった。

原東は牢屋内の小さな監視カメラの電源を切った。

今回の暗殺事件について、技術部の者に廊下と牢屋の映像を一つにまとめさせ、重要な証拠として保管することにする。

大呪術師が来れば、何が起きたのか自然と理解するだろう。