724 蔓の裏切り

彼は鞭を何度か振り下ろすと、蔓はほとんど打ち砕かれた。

蔓の枝は全て根元に向かって枯れ、最後には最初の一本の蔓に戻った。

藤村敦史は蔓を一本引き抜き、冷たい声で言った。「もう二度と悪さをするな。お前たちをどうするか分かってるだろう」

次の瞬間、彼は蔓の根から麻酔薬を噴射された。

彼の手は瞬時に動かなくなり、その場で硬直し、蔓は地面に落ちた。

矢崎粟は思わず笑った。「藤村大師、随分と手間をかけてくださいましたね。私の機嫌が悪いのを知って、楽しませようとしてくれたんですか?」

彼女は以前、様々な小世界を転生していた時、一度は花の妖怪として生きたことがあった。

だから、植物を操る能力は当然、藤村敦史よりも強かった。

それに、彼女は蔓から強い怨念を感じ取ることができた。おそらくこの蔓は藤村敦史に強制的に奪われたのだろう。ただ、蔓に霊気が宿り、もう藤村敦史の傍にいたくないと思っているようだった。