725 邪気の剣

なるほど、矢崎粟がこんなに焦っていたのは、ここで待ち伏せしていたからか!

彼女は最初から計画していたのだ。彼の大切な虫を霊獣のおやつにするつもりで、彼は馬鹿正直に毒虫を放してしまった。

藤村敦史は血を吐きたい気分だった。

こんなにたくさんの毒虫がいるのに、一匹も霊獣を毒殺できないなんて信じられない。

藤村敦史は笛を取り出し、奇妙な調べを吹き始め、すべての毒虫にその蛇を攻撃するよう命じた。

シュッシュッ!

小蛇は再び口を開け、舌で大量の毒虫を巻き取り、思わず尻尾を振って喜んでいた。

毒虫たちは急かす笛の音を聞いたが、小蛇の威圧に押されて、少しも前に出る勇気がなく、むしろ後ずさりしていった。

数秒のうちに、毒虫はまた半分以上が失われた。

藤村敦史は怒り狂いそうだった。

毒虫たちとの感応がどんどん弱くなり、心も一層痛んだ。

これは彼の最後の切り札だったのに。

矢崎粟が自分の霊獣を制御しないなら、彼がやる!

藤村敦史は面子も気にせず、急いで前に出て呪術で小蛇を殺そうとしたが、一筋の邪気に足を止められた。

その邪気は剣の形をしており、まっすぐ彼に向かって斬りかかってきた。

藤村敦史は危うく斬られるところだった。

矢崎粟は邪気の剣を引き戻し、にこにこしながら言った。「藤村大師、今はあなたの霊獣と私の霊獣が戦っているところです。私たち主人は介入しない方がいいでしょう。大人が子供いじめをするような真似は避けたいものですから、そう思いませんか?」

「ふん!」藤村敦史は怒って袖を払い、足を止めた。

もし強引に前進すれば、きっと邪気に当たってしまうだろう。

矢崎粟がどうやって邪気を剣の形に凝縮したのか分からないが、まさか彼を押し返すことができるとは!

この実力、若い世代最強と呼ばれるだけのことはある。

近づけないなら、せめて毒虫を回収できるはずだ!

藤村敦史は長い調べを吹き、毒虫たちを呼び戻した。調子は急いだものだった。

早くしないと、小蛇に全部食べられてしまう。

地面に残った毒虫たちは笛の音を聞くと、必死に戻ろうとした。まるで最初から逃げ出したがっていたかのように。

しかし、若くて元気な毒虫だけが戻ってこられた。

少しでも遅い者は、みな小蛇の腹の中へと巻き込まれ、今日のご馳走となった。