726 天賦過人

「では、あなたからの連絡を待っています。良い知らせであることを願います。あの人に懲らしめられて、南西部族に尻尾を巻いて帰ってくるようなことにならないように」と矢崎粟はゆっくりと言った。

彼女の表情は淡々としており、目には波風一つ立てていなかった。

そんな無関心な態度が、藤村敦史の怒りを一層煽った。

彼は矢崎粟が自分より強いことを妬み、さらに彼女の天賦の才能も、運気までもが一級品であることを妬んでいた。

天はなんてこうも不公平なのか。

藤村敦史は嘲笑って言った:「私を見くびっているな。失礼する!」

彼は振り返って立ち去ろうとし、地面に落ちている蔓根さえ拾わなかった。

矢崎粟はゆっくりと言った:「藤村大師、蔓はいらないのですか?」

「主を裏切るようなものなど、必要ない」

藤村敦史の声が響いた。

矢崎粟はすぐさま言った:「藤村大師が要らないというなら、私が処分しましょう。後で返してほしいなどと言わないでくださいね、動画を撮っていますから」

この蔓は貴重な品だ。

うまく調教できれば、小蛇と同等の力を持つ宝物となる。

藤村敦史は最後まで完全に調教することができなかったからこそ、裏切られたのだ。

藤村敦史は眉をひそめて足を止め、振り返ると矢崎粟がスマートフォンで動画を撮影しているのを見て、嘲笑した。「そんなガラクタでも欲しいのか?欲しければ持っていけ」

矢崎粟は少し笑って、「藤村大師がそんなに気前がいいなら、もう一つ情報を教えましょう。あなたが探している人物には、修行者から運気を奪う隠された手段があります。あなたの運気はとても強いですから、全部奪われないように気をつけてくださいね!」

彼女は一旦言葉を切り、続けて言った:「全部奪われたら、あなたの寿命も終わりですよ」

背後の人物への対処において、矢崎粟と藤村敦史は同じ陣営にいた。

ただし、藤村敦史はそのことを知らなかった。

彼女もちょうど他人の手を借りて事を成そうとしていた。

ただ、藤村敦史というこの刃が鋭いかどうかはわからなかった。

藤村敦史は思わず冷や汗をかき、心中で驚いた。

この情報は彼にとって確かに有用だった。誰だって長生きしたいものだ。

彼はまだ百歳で、修行者としてはまだ若く、数十年は生きられるはずだった。もちろん、こんなに早く命を落としたくはなかった。