矢崎粟の目が鋭く光り、手には霊石を持っていた。
彼女は霊石を陣の中心に据え、八方に符紙を投げ、素早く風雷火山陣を作り上げた。
一瞬にして、四方から雷鳴が轟いた。
怪物たちがまだ襲いかかろうとしたとき、矢崎粟は片手を天に向かって掲げ、呟いた。「滅!」
すると、空間全体に竜巻が発生し、全ての妖魔鬼怪を吹き飛ばし、目の前には何もない空き地だけが残った。
澤田實たちも彼女の前に現れた。
彼らは静かに地面に横たわっており、何の異常もなかった。
矢崎粟を中心とした周囲に、仮面の人々の輪が現れた。
中央にいたのは鬼の面を付けた鬼怨の道士だった。
鬼怨の道士は自分の張った陣がこんなにも早く破られたのを見て、心臓が激しく鼓動した。
こんなことはありえない!
彼は目を見開いて、矢崎粟を凝視した。
こんなに短時間で、どうして彼女はこんなにも簡単に九幽黃泉陣を破ることができたのか?
これは彼の代表的な必殺技だったのに!
もしかして、あの人が言っていた通り、矢崎粟は最高レベルの天才なのか……
彼の心に不甲斐なさが燃え上がった。
「矢崎粟、私の陣はこれだけだと思っているのか?はっきり言っておくが、お前は今日この山から出られない」鬼怨の道士は歯を食いしばって言った。
彼は鉄剣を手に取り、矢崎粟に向かって突きかかった。
この剣は上古荒野から存在し、歴代の戦神による加護を受け、多くの凶気と邪気が染み付いていた。
矢崎粟の肌を少しでも傷つければ、彼女は毒に侵されることになる。
その毒には解毒剤がなく、全身が腐敗して死ぬことになる。
矢崎粟は手を振ると、火の光が鬼怨の道士に向かって飛んでいった。
鬼怨の道士は心の中で驚き、避けようとした。
しかし地面が揺れ始め、立っていられないほどで、まるで地震のように天地が揺れ動いていた。
これが風雷火山陣の地震の術だった。
鬼怨の道士がどこに移動しても、その場所の地面が揺れ続け、地面を見ると、巨大な亀裂が現れていた。
彼は思わず驚愕の声を上げた。
必死にその亀裂から逃げ出した。
矢崎粟は剛洋に命じ、こっそりと鬼怨の道士の手から鉄剣を奪い、蔓の力で鉄剣を粉々に砕いた。
こうして、上古の鉄剣は皆の目の前で消え、鉄くずとなった。
「ああ!私の宝剣が。」
鬼怨の道士は悲痛な叫び声を上げ、奇妙な蔓を追いかけた。