733 幻陣に陥る

矢崎粟の目が鋭く光り、手には霊石を持っていた。

彼女は霊石を陣の中心に据え、八方に符紙を投げ、素早く風雷火山陣を作り上げた。

一瞬にして、四方から雷鳴が轟いた。

怪物たちがまだ襲いかかろうとしたとき、矢崎粟は片手を天に向かって掲げ、呟いた。「滅!」

すると、空間全体に竜巻が発生し、全ての妖魔鬼怪を吹き飛ばし、目の前には何もない空き地だけが残った。

澤田實たちも彼女の前に現れた。

彼らは静かに地面に横たわっており、何の異常もなかった。

矢崎粟を中心とした周囲に、仮面の人々の輪が現れた。

中央にいたのは鬼の面を付けた鬼怨の道士だった。

鬼怨の道士は自分の張った陣がこんなにも早く破られたのを見て、心臓が激しく鼓動した。

こんなことはありえない!

彼は目を見開いて、矢崎粟を凝視した。