矢崎粟は少し笑って、「今一番心配すべき人は矢野常よ」と言った。
矢野常は邪気に侵されており、法術で邪気を払う必要があった。
「粟、お前は……」
矢野常は矢崎粟を見つめ、助けを求めようとした。
しかし、言葉を言い終える前に、矢崎粟は冷たく断った。「それは他の人に頼んでください」
彼女はもう矢野常と関わりたくなかった。
邪気を解くのは、実力のある玄学師なら誰でもできることだった。
矢野常の目が暗くなり、心の中で不満げに言った。「他人は信用できない。他の玄学師にも頼みたくない」
「三日以内に解かなければ、必ず死ぬわ」と矢崎粟は淡々と言った。
そう言うと、彼女は森田廣の方を向いて別の話を始めた。
「森田さん、この期間、背後にいる人物が大きな動きを見せるかもしれない。あなたたちに頼みがあるの。各家の状況を監視して、異常があれば記録しておいて。事が終わったら、その記録を貰うわ」