722 賠償

矢崎粟は平然と言った。「奴は毒虫を籠に入れて人を害そうとしていた。私は玄学管理所の者だから、人を捕まえるのは当然のことよ。まさか私が奴を放すべきだと思っているの?」

そんなことがあり得るだろうか?彼女がそんなに優しい人間だったのか?

「それでも玄学管理所に送るべきではなかった。あなたが奴を閉じ込めておけば、私が来て懲らしめていたはずだ。矢崎さんに手を煩わせる必要はなかった」藤村敦史は非難の眼差しを向けた。

玄学管理所に捕まっていなければ、弟子もこんな危険な目に遭うことはなかったのだ。

彼の心には当然、不満が募っていた。

矢崎粟は眉を上げ、軽く笑った。「そう言うなら、私が悪かったということね」

彼女は彼がこれほど理不尽だとは思っていなかった。

彼が事を荒立てたいなら、彼女も恐れることはない。

「じゃあ、どうしたいの?」矢崎粟は目に鋭い光を宿し、細めた目で尋ねた。

彼女は確信していた。藤村敦史も彼女の手の内では何も得られないし、彼女は小蛇に虫を食べさせることもできる。

藤村敦史は彼女が全く恐れる様子がないのを見て、心が少し動いた。

矢崎粟の反応は彼の予想とは違っていた。彼女が怖がると思っていたのに。

しかし矢崎粟が怖がらないなら、なおさら彼女を懲らしめて、大師の実力というものを教えてやりたくなった。

藤村敦史は笑みを浮かべた。「一戦交えましょう。矢崎さんのような若き才俊を見ると、手が疼くものでして。ご指導願えませんか」

「いいですとも!」矢崎粟はにこやかに答えた。

矢崎粟がすぐに承諾したのを見て、藤村敦史は腹が立った。

謙遜のつもりだったのに、矢崎粟があまりにも厚かましく、本当に恥知らずだ。

藤村敦史は冷たい表情で言った。「前もって言っておくが、負けても私の前で泣き喚くなよ。女の泣き顔は大嫌いだ」

矢崎粟は嘲笑うように言った。「その言葉は藤村大師にもお返ししましょう。負けても私の庭院に居座らないでくださいね」

言葉の鋭さでは、彼女に勝る者はいない。

藤村敦史は冷笑した。

矢崎粟は弟子に勝ったからといって、自分にも勝てると思っているのか?

本当に甘い考えだ。

彼は矢崎粟をきちんと懲らしめて、心の怒りも晴らすつもりだった。

藤村慎一を捕まえた代償を払わせてやる。

こうして、二人は術の戦いを始めた。