これが澄夫が黙って去った理由なのか?
本当に家族に連れ戻されたのだろうか?
矢崎粟は眉をひそめたまま、どうして彼女に一言も言わなかったのだろうと思った。
何かがおかしいと感じていた。
矢崎粟は頷いて、「無事に帰れて良かったです。今はどんな様子ですか?」と尋ねた。
山本紀夫は即座に答えた。「家に着いた夜から高熱を出して、昨日やっと下がったんです。まだ体調が戻っていなければ、必ず一緒に連れてきて御礼を言わせたかったのですが。」
矢崎粟は淡々と言った。「構いません。私は何もしていませんから。」
山本紀夫は手に持っていた物を置いて、「これらは必ず受け取ってください。私たちの気持ちです。」と言った。
彼は大小の包みを全てテーブルの上に置いた。
矢崎粟が口を開く前に、岡田鈴音が言った。「受け取ってください。受け取っていただかないと私たちも心配で。実は、子供を見つけてから、あなたのことを少し調べさせていただいて、あなたがそれほど凄腕の玄学師だと知りました。これらは全て玄学師の方にお使いいただけるものです。」
彼女は一旦言葉を切り、続けた。「それともう一つ、お住まいをお調べしたことをお詫びいたします。失礼の意は全くございません。」
山本紀夫も頷いた。
矢崎粟は微笑んで、「分かりました。では頂戴いたします。お子様が無事で何よりです。ご心配なさらないでください。」と言った。
彼女には、この二人が何か企んでいるという予感があった。
「では連絡先を交換させていただけませんか?澄夫の体調が良くなったら、お礼に伺わせていただきたいので。」と岡田鈴音は笑顔で言った。
矢崎粟は頷いて、「はい、いいですよ。」と答えた。
連絡先を交換した後、岡田鈴音は「もう遅くなりましたので、これで失礼させていただきます。矢崎大師、何かございましたらいつでもご連絡ください。」と言った。
山本紀夫も付け加えた。「私たちにできることでしたら、必ずお引き受けいたします。」
矢崎粟は立ち上がり、二人を見送った。
戻ってきてから、テーブルの上の贈り物を全て開けてみると、思わず驚いた。
最初に開けた二つの包みには、高級な薬材が入っていた。
これらの品は珍しいものの、お金で買えるものなので、特別珍しいというわけではなかった。
矢崎粟が三つ目の箱を開けると、少し驚いた。