772 偽君子

「ふん、本当に大変だったんだね」矢崎粟は皮肉っぽく言った。

このような陰湿な方法は、確かに普通の人には思いつかないだろう。

人の運気を奪うということは、他人の人生を盗むようなもので、あまりにも非道だ。

道家協会の人々が、堀首席がこのような偽善者だと知ったら、きっと多くの玄学師が協会を去るだろう！

藤田川もため息をつき、「この二百年近く、堀信雄は次々と子供を作り、その子供たちに運気を奪わせ、自分は裏で成果を享受して、今日まで生きてきた」

これは天道の抜け道を利用したもので、いつか必ず自業自得となるだろう。

矢崎粟は言った。「彼が生きているということは、運気を奪われた人々への不正そのものだわ。幸い堀信雄は毒蜘蛛の毒に当たったから、長くは生きられないでしょう」

彼女は自分の復讐のためだけでなく、それらの人々のための復讐もしなければならない。

「それで？堀信雄の運気を奪う件は、私の師匠とどう関係があるの？」

藤田川は軽くため息をつき、顔に残念そうな表情を浮かべて、「堀信雄の寿命を延ばす方法があまりにも陰湿で、私と君の師匠は反対の意を示したんだ。しかし思いがけず、君の師祖は掌門印を森村邦夫に渡してしまった。森村邦夫は掌門の立場を利用して私たちがこの件に関与するのを阻止し、もし私たちが関与すれば、掌門の命令に背くことになり、天譴の罰を受けることになる」

表向きは、彼らはただ諦めるしかなかった。

しかし密かに、藤田川は運気を奪われた人々を助けようとしたが、それらの人々は全く感謝しなかった。

時が経つにつれて、藤田川の心も冷めていき、自分の庵で修行するだけで、俗世間のことには関わらなくなった。

「つまり、私の師祖は今も生きているということ？」矢崎粟は眉をひそめながら尋ねた。

藤田川は頷いた。「おそらくまだ生きているだろう。私は三百年もの間、彼の消息を聞いていない。死亡の公表がない以上、まだこの世にいるはずだ」

「じゃあ、私たちの初めての出会い、つまり番組のゲストとしてあなたを招待したのも、あなたが意図的に仕組んだこと？」矢崎粟は長い間考えていた質問を口にした。

藤田川は澄んだ瞳で、ゆっくりと語り始めた。「私は成り行きに任せただけだ。当時、森村邦夫が私の庵を訪れ、君が私の中華街脱出の唯一の希望になると告げ、チャンスを大切にするように言った」