771 大戦

矢崎粟が別荘を出た後、藤田川が去った方向に向かって車を走らせた。

彼女は路傍の茶屋に着き、中に入ると案の定、悠々とお茶を飲んでいる藤田川を見つけた。

矢崎粟は微笑んで、彼の向かいに座り、「先輩、やはりここにいましたね。どのくらい待っていたんですか?」

「15分ほどだよ」と藤田川は笑いながら答えた。

二人は既に打ち合わせをしており、途中で藤田川が誘導されて離れた場合は、途中で止まって矢崎粟を待つことになっていた。

矢崎粟はお茶を一口飲んで尋ねた。「その時はどんな状況でしたか?」

藤田川はゆっくりと説明した。「あの運転手には法力の波動があった。おそらく玄学師で、間違いなく堀信雄の手下だろう。途中でトイレに行った時に、法術で分身を作って車に乗せ替えた。運転手はまだ私が離れたことに気付いていない」