藤田川は言った。「私は師匠とはほとんど会ったことがなく、この件についてもよく分かっていません。具体的なことはさらに確認が必要です。」
「よく分からないなら、いずれ分かる機会があるでしょう。まずは堀信雄と森村邦夫を片付けましょう!」矢崎粟は少し考えてから言った。
まだ多くの事が解明されていない。あの時、中華街で一体誰が兄弟子の体を奪おうとしたのか?
「よし、その通りにしよう!」藤田川は頷いた。「では今から古戦場に行こう。森村邦夫はもう待っているはずだ。さっさと決着をつけよう。」
矢崎粟は微笑んで、「彼らが芝居を打つなら、付き合ってやりましょう。本当に古戦場があるかもしれませんしね。」
今日、二人が一緒にいるのは、良い機会でもあった。
二人が力を合わせれば、少なくともそこで命を落とすことはないだろう。
そしてもう一つ、非常に重要な情報がある。
今日は矢崎粟が前世で死んだ日だった。彼女はこの呪いを自らの手で破らなければ安心できなかった。
もちろん、このことは藤田川には言わないつもりだった。
藤田川は言った。「彼らのことを知る限り、そこには本当に古戦場があるかもしれない。ただし、邪気と凶気は彼らが作り出したものだろう。このくらいの邪気と凶気でも、周辺に住む人々にとっては致命的だ。」
もし今日行かなければ、結果は深刻なものとなるだろう。
その近くの住民が次々と死んでいくことになる。
こうして二人は、森村邦夫が示した位置に向かって古戦場へと向かった。
一時間半後、二人は無事に古戦場に到着した。
古戦場は深い山の中にあり、その周辺には数個の村があった。
矢崎粟は車を村へと続くコンクリートの道に沿って運転し、山麓で二人は車を降り、山上へと大股で歩き始めた。
藤田川は歩きながら、すでに漏れ出る邪気を感じ取っていた。
矢崎粟はポケットから護符を取り出し、首にかけ、漏れ出た邪気を全て法器の中に吸い込んだ。
二人が山を登るにつれ、周囲の邪気と凶気の濃度は高まっていった。
中腹に差し掛かった頃、矢崎粟は道端に墓標を見つけた。そこには「古戦場遺跡」と書かれていた。
矢崎粟は静かに言った。「着きました。」
藤田川は軽く頷き、声を出さなかった。
二人は更に奥へと進み、藤田川も法器を取り出して邪気と凶気を吸収していった。