776 一網打尽

彼は矢崎粟を早めに始末しなかったことを本当に後悔していた。

これほど多くのチャンスがあったのに、全て無駄にしてしまった。

矢崎粟は笑って言った。「毎回そう言うけど、一度でも成功したことある?口先だけが達者なだけよ。あなたみたいな馬鹿者、お父さんはきっとあなたをこの世に産んだことを後悔してるわ。あなたが馬鹿じゃなかったら、森村邦夫という大物を釣り上げることもできなかったでしょうね」

堀信雄は心臓が跳ね上がり、慌てて尋ねた。「全部お前の計算だったのか?」

だからこそ今日、こんなにも簡単にここまで来られたのだ。

今日は運が良いと思っていたのに。

全て矢崎粟の計算で、森村邦夫道士を引き出すのが目的だったというのか?

彼の慌てた様子を見て、矢崎粟は声を立てて笑った。「まさかこんなに馬鹿だとは思わなかったわ。一つの場所から逃げ出したと思ったら、また別の場所で死を待つなんて。おまけに後ろ盾のことまで話しちゃうなんて、本当に親孝行な息子ね」