777 陥れる

森村邦夫は矢が紙人形を貫いた瞬間、見覚えのある気配を感じた。その人物が藤村敦史だと気づいた時には、もう遅かった。

森村邦夫は顔を歪め、信じられない様子で尋ねた。「まさか藤村敦史の気配を利用して紙人形を作ったのか?」

つまり、彼の攻撃は藤村敦史に当たったということか?

堀信雄も怒って罵った。「矢崎粟、お前は本当に小人物だな。なぜ何度も道家協会と呪術師の里の関係を挑発するんだ?お前は自分を正人君子だと言っていたじゃないか?」

これまで人を陥れる側だった彼が、こんなふうに陥れられたのは初めてだった。

彼は心の中で怒りが込み上げてきた。

あまりにも悔しかった!

矢崎粟はにこにこしながら言った。「私は一度も自分が正人君子だとは言っていませんよ。それに、あなたたちのような陰険な小人を相手にするなら、その手口で仕返しするのは当然でしょう。」