824 網を引き上げる

一晩の時間はあっという間に過ぎ、小島一馬は矢崎粟の気持ちが安定していて、ネット上の出来事で落ち込んでいないのを見て安心した。

翌日、小林美登里の別荘にて。

矢崎美緒は部屋でお金を数えていた。昨夜、彼女は一晩中かけて知り合いから三億円を借りていた。

残りの二億円が、どうしても集まらなかった。

仕方なく、矢崎美緒は自分のバッグやアクセサリーを売って、一億円を手に入れた。

残りはあと一億円。

矢崎美緒は海外の以前関係を持った男性たちに電話をかけ、お金を借りた。

昼食を済ませた後。

彼女は全額を監督から指定された口座に振り込み、やっと安心して昼寝をすることができた。

矢崎粟は携帯で確認すると、口角が上がった。

網を引く時が来た。

夜になり、矢崎粟は矢崎美緒が過去十数年間、実母の本田水鳥と密会していた写真を全て情報サイトに送った。

幼い頃から、矢崎美緒は実母と会うたびに記念写真を撮っていた。

それが十数年も続いていた。

矢崎美緒はこれらの写真を暗号化されたアルバムに隠し、完璧な隠蔽工作だと思い込んでいたが、誰にも見つからないと信じていた。

しかし矢崎粟はそれらの写真を全て見つけ出した。

各情報サイトは写真を見るや否や、まるで狂ったように拡散し始めた。

ネットユーザーたちは信じられない様子でコメントを残した。

【なんてこと、つまり矢崎美緒は自分の実母が誰か知っていて、しかも頻繁に会っていたってこと?】

【やっぱり矢崎美緒なんて信用できないって。】

【ふん、この数日間矢崎美緒を擁護する人が多かったけど、私は最初から信じてなかった。】

【これが真実だ!】

【矢崎美緒には実母がいて、ずっと実の両親と連絡を取っていたのに、なぜ矢崎家に居続けたの?矢崎家の贅沢な生活が欲しかっただけ?】

【まだ矢崎美緒は無実だって言う人がいるけど、矢崎美緒は最初から分かっていた。矢崎家の生活を享受したかっただけ。】

ネットユーザーたちは再び矢崎美緒を非難した。

矢崎美緒に騙されたファンたちも完全に反旗を翻し、様々なアカウントで矢崎美緒の悪口を書き込んだ。

たちまち、矢崎美緒の評判は更に悪化した。

その後、矢崎粟は矢崎美緒がキャッシュカードを持って小林美登里の部屋から出てきて、小林美登里をケチだと罵る動画も全て情報サイトに送った。