小林美登里は矢崎美緒に対して十分な愛情を注いできたと自負していた。
しかし、矢崎美緒はそんな彼女に対してこのような仕打ちで報いたのだ。あまりにも失望させられた。
小林美登里は憎しみに満ちた目で「必ず粟の仇を取ってやる。矢崎美緒を生きた心地がしないようにしてやる」と言った。
病室にいた兄弟たちは互いに顔を見合わせ、心の中で溜息をついた。
以前、母親に矢崎美緒を追い出すように言った時、彼女は頑として拒んだ。
今になって事が起き、矢崎美緒が実母とまだ連絡を取っていることが分かり、母親はようやく矢崎美緒への復讐を決意した。
やはり、母親自身が矢崎美緒の酷さを実感する必要があったのだ。
矢崎弘は我慢できずに「母さん、これは全部母さんが甘やかしたせいだよ。昔、僕たち四人が矢崎美緒と遊んでいた時、母さんは何度も矢崎美緒を愛しなさい、いじめてはいけないって言ってたじゃないか。今になってこんな報いを受けることになった」と言った。