この時、矢崎美緒も事の真相を察していた。
烈狼は父親が雇ったハッカーで、矢崎美緒の携帯に仕掛けられたものも、全て烈狼が監視していたのだ。
だからこそ、あんなに早くIPアドレスを見つけられたのだ。
「安藤昭!許さないわよ!」矢崎美緒は怒り心頭で、手近な枕を掴んで目覚めたばかりの安藤昭に投げつけた。
安藤昭は驚きの声を上げ、より目が覚めた。「何があったんだ?」
彼がベッドを見ると、矢崎美緒の全身が青あざだらけだった。
二人は一時期肉体関係を持っていたので、これが何を意味するのか分かっていた。安藤昭は驚いた顔で、「あの中年男にやられたのか?」
つまり、あの男の標的は矢崎美緒だったということだ。
「あの人以外に誰がいるのよ?」矢崎美緒は涙を流した。
あんな気持ち悪い男に汚されてしまった。