853 誣告

安藤礼はしばらく考えてから、うなずいて言った。「いいわ、田中弁護士に会いに行きなさい。彼は吉野グループの法務部にいるわ。こんなレベルの案件で彼を動かすなんて、大材小用ね。」

「ありがとう、お母さん!」

吉野柔は素早く母の頬にキスをして、走り出て行った。

その日の夜、田中弁護士は矢崎美緒に会いに行き、事件の詳細について尋ね、この案件を引き受けた。

田中弁護士はさらなる証拠を提出した。

矢崎美緒は最後の送金の前にも、何度も送金をしており、小林美登里はそれを承諾していた。

当時、小林美登里は警察に通報していなかった。

二人の関係が悪化した後、小林美登里は最後の送金について通報し、弁護士はこれが誣告であり、小林美登里が意図的に矢崎美緒を陥れようとしていると判断した。

同時に、矢崎美緒は警察に重要な手がかりを提供した。

矢崎美緒は嘘をついて、自分が立ち去る前に、小林美登里がホテルに戻ってから送金するように言ったと聞いたと主張した。

これは小林美登里の誣告を証明することになった。

警察は小林美登里に再度来てもらい、さらなる証拠の提供を求めるしかなかった。

小林美登里は長い間考えたが、証拠を見つけることができなかった。

その日、矢崎美緒は無罪釈放され、拘置所から出ることができた。

小林美登里は怒りで顔が青ざめた。

彼女は誰が矢崎美緒を助けたのか調べさせ、背後で助けた人物が宿敵の安藤礼だと分かった。

小林美登里は家に帰ると、リビングの茶器を激しく叩き壊した。「憎らしい安藤礼、なぜこんな時に私に逆らうの。矢崎美緒があんなに悪いことをしたのに、刑務所に入れられないなんて信じられない。」

必ず何とかして、もう一度矢崎美緒を刑務所に入れてやる!

竜田おばさんは傍らで震えながら言った。「奥様、お体を大切になさってください。このような激しい感情は体に良くありません!」

「分かってるわよ!」小林美登里は適当に返事をしたが、また怒り狂って罵った。「矢崎美緒のあの賤人がまだ報いを受けていないのよ。私は絶対に倒れないわ。竜田おばさん、安心して。私は矢崎美緒より長生きしてやるわ。」

昨日、矢崎美緒の実母の判決が下り、三十五年の刑が言い渡された。出所する頃には、歩くこともままならない老人になっているだろう。

堀首席は毒を盛られて、もうすぐ死ぬと聞いている。