藤田川がお茶を一口飲んで、「これは上質な昆山虫で淹れたものだ。呪術師の里は本当に豪勢だな」と言った。
「藤田大師、お恥ずかしい」藤村敦史は藤田大師の言葉を聞いて、顔に敬意の色が浮かんだ。
彼は以前から藤田大師の伝説を聞いていたが、今日実際に会ってみると、確かに並外れた人物だった。
数人がしばらく歓談した後、矢崎粟たち三人は見送られて外に出た。
ホテルに戻ると、三人は小島一馬の部屋に集まり、藤田川が結界を張った。
「何か気づいたことはあるか?」藤田川が最初に尋ねた。
矢崎粟は考えて、「今日の藤村敦史と藤村慎一の話し方には何か遠慮があったように感じました。まるで誰かに監視されているかのように。彼らは少し後ろめたそうでしたが、私たちに何かヒントを与えようとしているようでした」と答えた。
藤田川は手を伸ばすと、手の中に蜜丸があった。「これは帰り際に藤村慎一が投げてよこしたものだ。今から開けて中を見てみよう」
蜜丸の外層は蝋で、割ってみると中に紙切れがあった。
【最近、南西部族は人心が不安定で、連日多くの人が失踪している。その大半が容姿端麗な若者で、戦闘力の高い男性も含まれている。現場には南鹰の印が残されており、おそらく南鹰一派が復活しようとしているのだろう。皆様もご用心ください】
「また南鹰か。どうやら、あの門主は確実に生きているようだな」藤田川の目が深く沈んだ。
矢崎粟は考えて、「では、これほど大勢の人々はどこに隠されているのでしょう?」
消えてしまえば、跡形もないのか?
「なぜ彼らはこれほど多くの人を必要としているんだ?」小島一馬は不思議そうに尋ねた。
生贄なのだろうか?
藤田川はゆっくりと説明した。「南鹰には一つの秘術があって、それは人を不老不死にできると言われている。門下生が死ぬ瞬間に原神力を封じ込め、適切な肉体が見つかれば、原神力がその体に乗り移って、代々復活し続けることができるのだ」
これが南鹰の秘術だった。
この秘術はあまりにも残虐なため、とうに玄学界で禁止されていた。
「つまり、彼らが人々を捕まえているのは、適切な肉体を探すためなのか?」小島一馬が尋ねた。
矢崎粟は頷いた。「状況はかなり深刻なようですね。第一の部族でさえ及び腰になっているのですから」
呪術師の里は南西地方で絶対的な支配力を持っている。