吉野柔は嬉しくて飛び上がりそうになり、「ありがとうママ、私、幸せです」と言った。
彼女はついに最愛の人と結婚できる。
すぐに、吉野健一と安藤礼は小林家に挨拶状を送った。
小林家もすぐに返事をした。
両家は午後3時に会うことになった。
安藤礼は真剣に服を選び、吉野健一にも正装を選んで、二人で小林家へ向かった。
「まあ、これは安藤礼じゃないの?どうして私の家に来たの?」
入るなり、田中千佳は皮肉っぽく尋ねた。
安藤礼は中に入って座り、笑いながら言った。「もちろん重要な話があるからです。とっくに挨拶に来るべきでした」
小林昌は吉野健一を見て、急いで「吉野社長、どうぞお座りください!」と言った。
吉野健一は頷いて、席に着いた。
四人はお茶を飲んでいた。
しばらくの間、誰も話さず、雰囲気は少し奇妙だった。
安藤礼が最初に沈黙を破り、田中千佳に向かって「小林二夫人、今日お伺いしたのは、小林博と私の娘の吉野柔のことについてお話ししたいからです」と言った。
「えっ?二人に何かあったの?」田中千佳は知らないふりをして、お茶を一口飲みながら尋ねた。
以前、小林美登里を助けていた時、安藤礼はいつも容赦なく、とても失礼な物言いをしていた。
今、安藤礼が困っている様子を見て、田中千佳は内心喜んでいた。
吉野健一が咳払いをして、「娘の柔が無分別で、お宅の息子さんと相思相愛になってしまい、家族に報告せずにいました。今日は二人の結婚の日取りを決めさせていただきたいと思います」と言った。
この言葉を聞いて、田中千佳はお茶を飲んでむせてしまった。
しばらく咳き込んだ後、「うちの博からそんな話は聞いていません。まず子供に確認しないといけませんし、それに、もし縁組みするなら、まず婚約するべきで、なぜそんなに早く結婚する必要があるのですか?」と尋ねた。
安藤礼はしばらく躊躇してから、「娘の柔はすでに妊娠しています。小林家の血を受け継ぐ子供です」と言った。
田中千佳はその場で固まった。
小林昌も驚いた表情で、「本当ですか?」と聞いた。
なるほど、だから吉野家がこんなに急いで、体面も気にせずに両家の婚事を決めたがっているのだ。