劉部長の能力がどんなものか、外の人々にもはっきりと分かっていた。
甘松柏は安堵のため息をついた。今日を過ぎれば、この劉部長は病院で二度と顔を上げられないだろう。それに外からの圧力も避けられないだろう。院長の孫だとしても、この部長の座を安泰に保てるとは限らない。
「お嬢さん、私たちも行きましょう」と甘先生が声をかけた。
彼が口を開くと、景雲昭と項瑾はすぐに前に出て支えながら病院を後にした。劉部長は自分の嫌いな老人がようやく視界から消えるのを見て、しかし心の中では全く喜べなかった。
みんなの視線があまりにも痛かった。
この劉部長も以前は多少の実力があったのだが、それは数年前のこと。時が経つにつれて、知識の大半を忘れてしまい、普段診る患者のほとんどは他の医師が処方箋を書いた後のもので、彼はただサインをするか一目見るだけでよかった。どこに本物の実力があったというのか?
この時、劉部長が知らなかったのは、先ほどの病院での口論と腕比べの場面が誰かによってこっそり撮影され、今では華寧県のフォーラムで広まっていることだった。数時間後には、すでに誰もが知るところとなっていた。
劉院長は年を取り、病院の事情にも多少目が行き届かなくなっていた。事態を知った時にはすでに遅く、自分の孫が甘松柏を病気にさせただけでなく解雇までしたと聞いて、心臓発作を起こしそうになった。
彼は甘松柏を親友のように思っていた。もし甘松柏が交際を好まず、ただ静かに治療と救命に専念したいと思わなければ、数十年前に必ず甘松柏と一緒に病院を設立していただろう。そしてその時も甘松柏の助けを少なからず得ていた。それが今や、解雇とはひどい話だ!
甘松柏がどんな性格か、彼が知らないはずがない。
医の倫理がないと指摘され、その時はおそらく死にたい気持ちだっただろう。これは大きな確執となってしまった!
もしこれだけの事なら、劉院長も受け入れられないわけではなかった。しかしまさか、あの愚か者が子供と腕比べをするとは!
比べるならまだしも、問題は最後に負けてしまい、さらに徐鏡之に指さして無能呼ばわりされたことだ!
動画が広まって以来、劉院長の携帯は鳴り止まなかった。かかってくる電話は全て、彼が軽々しく対応できない人物からのものだった。そしてそれらの人々は全て徐鏡之の名声を気にしてのことだった!