第321章 黒魔王

相手側の者たちは一人一人、ひどい顔色をしており、その数はどんどん増えていき、彼らの三倍近くになっていた。

「花泥棒、お前、死にたいのか?俺たちの親分に手を出すとは!」相手の者たちが怒鳴った。

花泥棒は複雑な心境だった。彼も手を出したくなかったし、そもそもこれは彼が仕掛けたことではなかったが、不運にもこんな場面に遭遇してしまったのだ。黒豹さんが殴られている現場に居合わせてしまい、抵抗しなければ、今後は黒豹さんの的になるしかなかった!

「無駄話はよせ、黒豹さんの横暴な振る舞いには前から我慢ならなかったんだ!今日はもう親分に手を出したんだから、掟通りにやろうじゃないか!」心の中では落ち込んでいたが、表面上は引けを取るわけにはいかなかった。

その掟は単純なものだった。勝者が王となり敗者が賊となる。縄張りの支配は力で決まり、戦いが終われば不忠な者たちを徐々に処理する。名が上がれば子分も増える、これは古今不変の発展方式だった。

話が明らかになった以上、もう話し合うことはなかった。しばらくすると、一斉に突っ込んできた。

景雲昭はこれほど熱い場面を経験するのは初めてで、心も少し高ぶっていた。

誰もが権力を求める理由が分かった。権力も能力もない者は前線で突っ込む兵隊のように、消耗品として使われる。一方、能力のある者が一定の高みに登り詰めれば、こういったことは自ら手を下す必要すらなくなるのだ。

周囲は物々しい雰囲気で、激しい戦いが繰り広げられる中、景雲昭の方にはどんどん攻撃が集中してきた。

最初は誰も、この一見か弱そうな若者を相手にしていなかった。ちょっと手を出せば倒れるだろうと思っていたが、十数人が次々と襲いかかっても、景雲昭は無傷どころか、攻撃してきた者たちが全て倒れてしまっていた。

この時点で、多くの者が景雲昭の異常さに気付き、一斉に襲いかかってきた。

花泥棒も少し呆気にとられていた。確かに景雲昭は強かったが、これほど多くの敵を相手に持ちこたえられるのだろうか?

しかしすぐに、花泥棒の心配が全く無用であることが証明された。

この通りには人影はなく、殴り合いの音が絶え間なく響く中、一つの黒い影が神がかり的な動きを見せ、フックやローキックの一撃一撃に破壊力が込められ、相手を不意打ちにしていた。