景雲昭は皆と一緒に見つめ、その見慣れた顔に目が留まると、口角が引きつった。
黎少雲!
新しい体育教師が黎少雲だなんて?
景雲昭は一瞬呆然とした。彼女の知る限り、体育教師は誰でもなれる職業ではないはずだ。特にこの一中のような学校では、体育教師はおろか、門番の警備員でさえ、他の学校より高い基準が求められるのに!
景雲昭の疑わしげな視線を見て、黎少雲は軽く笑い、次の瞬間、「景雲昭、クラスメートを率いて準備運動をしなさい」と言った。
クラスメートたちは驚いた様子を見せた。
以前の体育教師も景雲昭を気に入っていて、彼女の声が響きがよく耳障りでもないため、よく彼女にリードを任せていた。しかし、教師が変わったのに、また景雲昭を指名するとは?
それに、この体育教師は確かにかっこいいけど...どこかで見たことがあるような?
こんなにハンサムな男性は珍しく、しかも最初から景雲昭の名前を出したことから、クラスメートたちはすぐに驚きの声を上げ始めた。
「これって...前に景雲昭を訪ねて来た学校のイケメンじゃない?」
「見たことある、天香樓のオーナーだよ。クラス分け前にクラスメートが招待してくれて、そこで食事したことがある...」
以前、喬尉民が学校で騒ぎを起こした時、黎少雲が現れた。その時、景雲昭が喬尉民を散々殴りつけたのに、この黎少雲は少しも驚かず、むしろ景雲昭のために他人の机を奪ったほどだった...
過去の出来事が脳裏によみがえり、クラスメートたちはますます騒がしくなった。
景雲昭は列から出て、黎少雲の前に立ち、少し不思議そうに彼を見つめた後、落ち着いた様子で皆をリードして準備運動を始めた。
彼女は細身だが体のプロポーションが極めて良く、シンプルな動きでも彼女が見せると独特の美しさが加わった。黎少雲は横で眉を上げながら見ていたが、クラスメートたちに目を向けると、数人の男子生徒が景雲昭をじっと見つめているのに気付いた。
準備運動が終わると、黎少雲は即座に「女子は三周、男子は十周!学級委員長と景雲昭がリードすること!」と言った。
この言葉に、男子生徒たちは一斉に悲鳴を上げた。
しかし、それだけではなかった。