第600章 従順な猫

蕭海清は後部座席で目を閉じて休んでいた。別荘の入り口はますます静かになっていった。

30分が過ぎ、1時間が過ぎても、中にいる江蓉はまだ出てこなかった。運転手は奥様が何か良くないことをしているに違いないと確信していた。

しかし、あまりにも大胆すぎる。二人の存在も気にせず、さらには脅しまでかけてくるなんて。以前はこんな人だとは思わなかったのに。

運転手は針のむしろに座っているような気分だったが、蕭海清は景雲昭からもらった軟膏を手に持ち、極めて冷静だった。

景雲昭の話によると、この軟膏の香りは人の意識を曇らせる効果があり、特に多く嗅ぐほどその効果が強くなるという。ただし、この薬効は簡単に解除できる。薬粉を入れた水を飲むか、香りを嗅いだ時に顔を水で洗えば、意識をはっきりと保てる。