第116章:高橋穂高は坂本加奈のベッドに隠れているはずではないのか?

「もちろん、あなたの偽善的な白蓮花の正体を暴くわ!」林波留は憎々しげに言った。「普段から無邪気を装い、可愛らしさを演じて、みんなの好感を得て、男を誘惑するのが大好きでしょう!今日こそ、みんなの前であなたの仮面を剥ぎ取ってやる!」

そう言うと、身を屈めて坂本加奈の布団を掴んだ。

「だめ!」坂本加奈は自分の布団を手で押さえ、表情を緊張させて不安そうに言った。「やめて!」

坂本加奈が緊張すればするほど、林波留は高橋穂高が彼女のベッドに隠れているという確信を深めた。これは好都合だった。

みんなが二人が同じベッドにいるところを目撃すれば、何も起こらなかったとしても、弁明の余地はないだろう。

これで坂本加奈は名誉を失墜し、誰も彼女を尊重しなくなる。そして、あの仙人のような男も坂本加奈を望まなくなるはずだ。

結局、どんな男も女に浮気されるのは我慢できないのだから。

林波留は心の中で快感に浸っていた。坂本加奈の布団を剥ごうとした瞬間、ドアの方から男性の低い声が聞こえた。「何をしているんだ?」

ほぼ全員が一斉にドアの方を見た。そこには高橋穂高が身なりを整えて立っており、手には薬の袋を下げていた。彼は困惑した表情で椎名峰子を見つめ、「峰子、どうしてここに?」と尋ねた。

椎名峰子もこのような展開は予想していなかった。高橋穂高は坂本加奈の部屋にはおらず、外から入ってきたのだ。一瞬呆然として、どう反応すべきか分からなかった。

林波留はさらに驚愕の表情を浮かべ、信じられない様子だった。

どうして、どうしてこんなことに?

高橋穂高は坂本加奈のベッドに隠れているはずじゃなかったの?

全員が驚きの表情を浮かべていた。展開があまりにも急すぎた。

林波留は信じられない様子で振り返り、坂本加奈の体を覆う布団を掴んだ。今度は坂本加奈は止めなかった。

布団を剥ぐと、坂本加奈の下半身は寝袋に入っており、横に盛り上がっていた部分はホテルのクローゼットにあった予備の布団だった。

林波留と椎名峰子は完全に呆然としていた。まさか布団だったとは!!

その場にいた人々は皆呆気にとられていたが、唯一坂本加奈だけがベッドに座り、体を弱々しく背もたれに寄りかかりながら、落ち着いた様子でこの展開を予測していたかのようだった。