翌朝早く、坂本加奈は寝袋から苦労して這い出し、急いで着替えを済ませ、洗面を済ませて階下に降りると、すでに起床していた高橋先生が体を伸ばしているところだった。
「おはようございます、高橋先生」坂本加奈は礼儀正しく挨拶した。
高橋先生は振り向いて彼女を見ると、微笑んで「おはよう、坂本くん」と返した。
長年多くの学生を指導してきた中で、才能はあるが努力が足りない者、才能はないが努力する者がいたが、坂本加奈は稀有な例外で、才能も努力も兼ね備えていた。そのため、普段から他の学生より多くの指導と配慮を行っていた。
「まだ多くの学生が起きていないから、出発は少し遅れるかもしれない。先に朝食を食べに行くといいよ」高橋先生は動きを止め、西の方を指さして「町の方に朝食屋があって、なかなか良いよ」と言った。
坂本加奈は軽く頭を下げ、「はい、ありがとうございます」と答えた。
「どういたしまして」高橋先生は手を振って、彼女を朝食に行かせた。
坂本加奈は西の方に行くと、いくつかの朝食屋を見つけた。墨都の朝食と変わらず、適当に二品ほど買って食べ終わると、少し周辺を散策してから宿に戻ると、学生たちはみな起きていた。
高橋先生は彼らを叱りつけていた。転生した怠け者たちだと言って、急いで朝食を買って道中食べるように促し、ついでに坂本加奈を褒めた。
坂本加奈は唇を引き締めて微笑み、何も言わずに階上に行って画板バッグを取り、忘れ物がないか確認してから階下に降りて出発の準備をした。
高橋先生は彼らを町の橋に連れて行った。そこからは町全体の正面の様子がよく見えた。みんなは好きな場所を見つけて座り、イーゼルと画板を出して絵を描き始めた。
朝の気温は低く、みんな寒さで足を震わせ、手を温めようと息を吹きかけていたが、坂本加奈は人から離れた場所で柳の木の下に座り、真剣に絵を描いていて、まるで寒さを感じていないかのようだった。
高橋先生は彼女の集中している様子を見て、目に賞賛の色を浮かべた。そして隣で話しながら足を震わせている二人の学生を見て、思わず彼らの頭を叩いた。「しっかり絵を描きなさい。そんなに寒くないでしょう!坂本くんを見なさい。女の子一人でも寒いと言わないのに、君たちは女の子にも及ばないのか」