林翔平は林波留に呼ばれてきたのだが、白川晴香が戻ってきたとは思わなかったし、まして二人がダンス対決をするとは予想もしていなかった。
白川晴香のダンスは確かに魅惑的で色気があったが、坂本加奈がステージで跳ね回る姿はより可愛らしく、声は甘く、瞳は澄んで輝いていて、まるで小さな太陽のようだった。
彼は今まで気づかなかったが、実は坂本加奈もとても綺麗で、他人にない輝きを持っていた。
坂本加奈は彼を見た瞬間一瞬固まり、我に返って静かに視線を逸らした。今夜は白川晴香に勝てないことを悟った。
でも票数は同じだから、負けたわけではない。ただ林波留が犬の真似をするのが見られないのが残念だった。
林波留は急いで林翔平の前に歩み寄り、バラの花を彼の手に押し付けた。「お兄ちゃん、早く春子姉さんに投票して!」