第153章:「なんだか、また私を誘導してる気がするんだけど?」

坂本加奈は大会の宣伝資料を持って学校の門まで歩いていくと、後ろから明るい声が聞こえてきた。「お嫂さん……」

彼女は立ち止まって振り返ると、走ってくる黒川詩織の姿が見えた。

これは坂本加奈が正月明けて初めて彼女に会う時だった。

「詩織、どうしてここにいるの?」

黒川詩織は足を止め、花のような笑顔を浮かべた。「お嫂さん、私も墨大の学生なのよ。でも私はIT学科なの。」

彼女は以前から墨大に合格していたが、あの事故で昏睡状態に陥ったため、黒川浩二が休学の手続きをしてくれていた。

今は完全に回復したので、当然学業を続けるために戻ってきたのだ。

「IT?」

黒川詩織は頷いた。「私の夢は世界一のハッカーになることだから。」

少し間を置いて、彼女に近づいて神秘的に尋ねた。「ディープウェブのQって知ってる?」