第308章:どこに閉じ込めた

「外は雨が降っているけど、どこへ行くの?」上野美里は心配そうに尋ねた。

坂本加奈は彼らを心配させたくなかったので、笑顔を作って答えた。「前に描いていた絵がまだ完成していないことを思い出したの。戻って仕上げないと。」

上野美里は、この大雨の中で帰らせるのが心配だった。「そんなに急ぐの?雨が止むまで待てない?」

「今、インスピレーションが湧いているの。」坂本加奈は彼女の腕に寄り添い、甘えた声で言った。「気をつけて帰るから。」

「子供が帰りたいなら帰らせてあげなさい。安全に気をつければいいだけだよ。」坂本健司は妻に目配せをした。

上野美里はため息をついて、「わかったわ。でも、運転には気をつけてね。」

坂本加奈は頷いた。「わかってる!お父さん、お母さん、じゃあね。」

彼女は傘を差して外に出た。配車サービスの車が既に玄関に到着していた。