第309章:実の母

坂本加奈は足早に部屋へ向かった。

西村美香は我に返り、急いで叫んだ。「止めて!」

白川櫻は痛みを堪えながら坂本加奈を掴もうとしたが、坂本加奈は振り向いて棒を白川櫻に向かって振り上げた。

「どけ!」彼女は冷たく叱責し、その瞳には怒りと嫌悪が満ちていた。「私を止めようとしたら、命を賭けて戦うわよ!!」

「命を賭けて?」西村美香は嘲笑を浮かべながら、ゆっくりとした口調で尋ねた。「彼女が誰か知ってるの?」

坂本加奈は彼女の顔から白川櫻へと視線を移した。「誰だろうと関係ないわ!たとえ西村雄一郎のお母さんだとしても、浩二を傷つけようとするなら、同じように命を賭けて戦うわ!」

誰も浩二を傷つけることはできない!

「ふん。」西村美香は喉から冷笑を漏らした。「彼女は西村雄一郎の母親というだけじゃなく、黒川浩二の実の母親よ!」