第356章:私の手の血

坂本加奈は黒川浩二の隣に座り、彼の手に自分の手を重ねた。触れることはできないけれど。

「しろちゃん、彼らの言うことを聞かないで。あれはあなたがやったことじゃない。あなたは素晴らしい子よ、本当に素晴らしい。」

黒川浩二は彼女の言葉を聞いたかのように、隣の席の方を向いた。

坂本加奈の心臓が激しく震え、本当に彼と目が合ったような錯覚を覚えた。

白川櫻は部屋を一瞥すると、黒川浩二が隣の席を見ているのに気づいた。まるでそこに誰かが座っているかのように。

突然、背筋が凍るような不気味さを感じた。

「早く医者に連れて行った方がいいわ。」

***

黒川徹は黒川浩二を精神科医と心理カウンセラーに診せた。

医者が何を聞いても、彼は黙ったまま、誰にも反応を示さなかった。

医者は黒川徹の説明を聞いた後、最終的に黒川浩二に「反社会性人格障害」と診断を下した。