第361章:君がついに目覚めた

車内に座っている男は切れ長の眉と輝く瞳を持ち、その表情には冷たさが漂っていたが、坂本加奈の目には温かく熱いものに映った。

「林翔平でもなく、他の誰でもない……ずっとあなただったのね!」

坂本加奈は泣きながら笑い出し、声を詰まらせながら言った。「最初に好きになった男性も、最後に深く愛した人も、ずっとあなただけだった。私を救ってくれたのはあなた……私はあなたのために生きてきたの」

運命とは不思議なもので、最も絶望的で無力な時に一筋の希望を与えてくれる。その微かな光は、人を蛾のように炎へと引き寄せるのに十分だった。

***

病院。

坂本加奈はまだ目覚める気配を見せず、医師は何度も全身検査を行ったが、体に何の問題もないことを示していた。しかし、なぜ目覚めないのか、誰にも分からなかった。