第369章:私が彼を愛させて

坂本加奈は照れくさそうに笑って、「麻美おばさま、私が寝たかったわけじゃないの。彼が寝るように言ったの。責めるなら彼を責めてください」と言った。

彼女は黒川浩二を指差し、躊躇なく責任を転嫁した。

黒川浩二は理由もなく責任を押し付けられても説明せず、彼女の床に着いた素足に視線を落とし、部屋に戻ってスリッパを取りに行き、戻ってきた。

「まずは靴を履いて」

坂本加奈は頭を下げて靴を履きながら、急いで尋ねた。「麻美おばさま、お願いした人、見つかりました?」

「見つかったわ」黒川麻美は答え、少し間を置いて、「でも、その人に何を頼むの?」と聞いた。

「それなりの理由があります」坂本加奈はまず謎めかしく言って、「その人はいつ来られますか?」

「明日よ」黒川麻美はそれ以上追及しなかった。