「片付けは私が……」
西村雄一郎が茶碗を台の上に置こうとしたが、うまく置けなかった……
「ガチャン!」
坂本加奈は割れる音を聞いて注意しようとしたが間に合わず、怨めしそうな目で彼を見つめた。
「私の茶碗は全部で2つしかないのに、全部割っちゃったじゃない!!!」
今夜は鍋で直接ご飯を食べなきゃいけないの?
「割れたものは割れたんだ。倍にして返すよ」西村雄一郎は気にも留めず言い、横の箒を取って床の破片を掃こうとした。
坂本加奈は小声で呟いた。「西村家は破産したのに、お金あるの?」
西村雄一郎の動きが止まり、暗い目で見上げた。「君も俺が西村家を出たら生きていけないと思ってるのか?俺をただのダメな坊ちゃんだと思ってるんだろう?」
坂本加奈は我に返り、慌てて首を振った。「そういう意味じゃなくて、私は……」