第402章:太陽を隠す(1)

普通は結婚を控えた人は緊張して眠れなくなったり、結婚前に不安になったりするものだ。

「緊張なんてしてないわ」坂本加奈は新しくしたネイルが気に入っていた。普段は絵を描くので、綺麗なネイルをするのは不便だったが、結婚で数日休めるのだから、しっかり綺麗にしておきたかった。

深木雫は笑って言った。「彼女は結婚して数年経つのよ。今回は単に結婚式を挙げて、形式を整えるだけじゃない!」

佐藤薫はそうだなと思い、ため息をついた。「私が結婚する時はどんな感じになるのかしら!あなたが早く結婚しちゃうから、私のブライズメイドになれないじゃない。」

少し間を置いて、横目で深木雫を見ながら、「雫姉さん、もしその時まだ結婚してなかったら、私のブライズメイドになってくれない?」

深木雫は眉を少し上げて、「なんだか呪われているような気がするわ」

佐藤薫は舌を出して、「だって今も独身なんだもの。私の方が先に結婚する可能性が高いでしょ!」

「もういいわよ。みんな恋愛で潤っているのはわかったから、私という独身犬をいじめないでちょうだい。」

坂本加奈は少し黙った後、尋ねた。「雫姉さん、薄田正さんとは本当にもう可能性はないの?」

佐藤薫も深木雫と薄田正の件について聞いたことがあり、興味深そうな目で見つめた。

深木雫は目を光らせ、彼女の視線を避けながら、いい加減に答えた。「私と彼に何の可能性があるというの!」

坂本加奈はそれを聞いて、それ以上は聞かなかった。

ネイルが終わると、深木雫は坂本加奈に香水を1本贈った。特別に調合したもので、新婚祝いのつもりだった。

坂本加奈だけでなく、佐藤薫も気に入り、雫姉さんと呼びながら、自分にも調合してほしいとせがんだ。

坂本加奈は引き出物の香水を全部深木雫の調合したものに変更することを提案した。

深木雫は慌てて手を振った。「やめて、死んでしまうわ。」

坂本加奈と黒川浩二の結婚式には大勢の著名人が集まり、百人以上の参列者がいる。生産隊のロバでも、そんなに多くの香水は作れないだろう。

坂本加奈は残念そうに諦め、店で2本を選び、岩崎と小姑に贈ろうと思った。

支払いをしようとしたが、深木雫は拒否した。佐藤薫が選んだ分も含めて、代金は受け取らなかった。