第403章：太陽を隠す（2）

背の高い影が佐藤薫の傍らを通り過ぎ、まるで骨まで凍てつく寒風が吹き抜けたかのように、彼女は全身が凍りついたまま立ち尽くした。

上野美里はキッチンに入ったため、この光景を見ていなかった。もし見ていたら、きっと坂本真理子の耳をひねっていただろう。

佐藤薫はしばらくその場に立ち尽くし、冷たくなった指先がゆっくりと温かみを取り戻すのを感じながら、深く息を吸って階上へと向かった。

まるで何事もなかったかのように。

坂本加奈はすでに身支度を済ませ、赤いバスローブに着替えていた。佐藤薫を見ると、うれしそうに前もって用意していた同じデザインで色違いのバスローブを取り出した。雫姉さんが来たら、一緒に写真を撮るつもりだった。

深木雫はメイクアップアーティストやカメラマンチームより10分早く到着し、上野美里は皆に食事を勧めた。これから一日中忙しくなるからだ。

朝食を済ませると、メイクアップアーティストはすぐに坂本加奈を化粧台の前に座らせ、メイクを始めた。

深木雫と佐藤薫も手持ち無沙汰ではなく、坂本加奈が後で着る秀禾服を取り出してアイロンをかけ、整えた。

秀禾服は林清美が坂本加奈のために特別にデザインしたもので、彼女の気品を引き立てるため、伝統的な真紅ではなく、金色の刺繍に赤色のアクセントを施したものだった。刺繍は桐生市の永野家の当主夫人である星野雫が手掛けたものだった。

本来、星野雫は気が進まなかった。彼女は睡眠を好み、お金にも困っていなかったが、黒川浩二が桐生市まで足を運び、永野明と面会したことで、星野雫は夫の顔を立てることにした。

坂本加奈はメイクが終わると、まずブライズメイドと写真を撮り、それから秀禾服に着替えた。

佐藤薫と深木雫は思わず感嘆の声を上げた。「これは本当に綺麗！」

「金色の秀禾服がこんなに綺麗だなんて知らなかった！」佐藤薫はスマートフォンでパシャパシャと写真を撮りながら言った。「私も将来は金色を着たい。」

メイクアップアーティストは軽く笑って、「金色は赤色より似合う人を選びますよ。花嫁さんは雪のように白い肌だから、金色がとても似合うんです。」

佐藤薫はそれを聞いて即座に考えを改めた。確かに自分は坂本加奈ほど白くない！！

深木雫も数枚写真を撮り、誰かに送信した。