以前は会えば何でも話せた二人の親友が、今は向かい合って座り、言葉もなく見つめ合っていた。
坂本加奈は少し気になっていたが、彼女と喧嘩するほどの怒りはなく、ただ一時的に何を言えばいいのか分からなかった。
結局、佐藤薫が先に口を開いた。かすれた声で低く言った。「加奈、私のことを怒って友達でいたくないなら、分かるわ。傷つけられたのはあなたで、騙されたのもあなた。私を叱りたいなら、叩きたいなら、それも構わない。私は絶対に反撃しないから」
「えっ!」坂本加奈は口を開いたまま、呆然とした表情を浮かべた。「私...私は絶交しに来たわけじゃないよ」
佐藤薫の充血した目には驚きが満ちていた。「加奈、あなた...」
「あの夜、知った時は本当に怒ったけど、でも絶交なんて考えてなかったよ。あなたは私の一番の親友なんだから!」